楽団員の声

「あの頃の私」

事務局長の宇佐美豊です。
ユニフィルは創立43年になりますが、その初期の昭和50年代は、地方でも生の音楽を聴かせたいという要望が強まって来た時期だったのですね。
私が20代後半の頃でしたが、北の青森から南の返還間もない沖縄まで演奏旅行の連続でした。
そのひとつに7月のたなばたの時期恒例の石巻市小中学校巡回オーケストラ鑑賞教室がありました。
1日3校3ステージを移動して時節柄汗をかきながらのヴァイオリン演奏は大変なはずですが、今でもまず蘇ってくるのは“楽しかった!”という気持ちだけなんです。
牡鹿半島の付け根の急な坂を下った海岸にある荻の浜小学校のことも思い出します。
会場の天井まで届きそうなたなばた飾りが並ぶ小さな体育館に、集まったのは分校の児童も入れても約80名位でした。
少し恥ずかしそうな拍手でオーケストラのメンバーが入場します。しかし演奏を聴くにつれて子供達に興味しんしんな反応や喜ぶ表情が増えて行きます。そして元気の良い沢山の拍手で演奏会は終わります。すっかり打ち解けた子供達がメンバーに集まってきます。そしてお別れはバスと校舎からの“さようなら”の交換等、私達自身も楽しくて仕方がなかったのですね。
また昼食時に地元特産のシャコ等の差し入れをPTAから山盛り頂きとうとう食べ切れなかった事も忘れられない思い出です。

そして今も!終演後に子供達が元気よくホールを出てゆく姿を見送るのが一番の幸せな私です。